方針「むし歯ゼロ」
身体も心も健康な毎日を送るために大切な役割を担っているお口。
乳幼児期のむし歯は一生の健康を左右するとも言われます。
園の方針として「むし歯ゼロ」活動を実施しています。
湘南こども園には歯科衛生士が常駐しています。
発達に応じたお口のことや日々の歯磨きについて相談をお受けしています。
「虫歯ゼロ」のこども園へ
歯科衛生士 杉村
寒川町初の認定こども園「湘南こども園」では平成三十年、創立五十年のふじ幼児園を母体として設立し、様々な「特別保育」を行っています。その中のひとつとして、「虫歯ゼロ」への取り組みがあります。
口腔は食物を体内へ取り入れる中で初めに通る消化器官であり、脳・身体など全身の健康とお口の健康は深く関わりがあります。実際に、病院勤務時代、血液内科と連携し、血液疾患を有する患者さんへの口腔ケアを行い、お口のケアを行うことで病状の安定化を図ることや、誤嚥性肺炎の予防のためのお口のケアを行っていました。むし歯は全身の健康のみならず、生涯の健康にかかわると実感しました。
また、近年では幼児期において不適切な食生活などが原因で、偏食・口呼吸・姿勢の悪さなどが起こる「口腔機能発達の低下」が注目されています。これらは幼児期における毎日の行いや習慣づけが大切であるため、食後の歯磨きを始めとし、食事の際の姿勢など、食生活にまつわる毎日の過ごし方や基礎を作ることができるよう、むし歯ゼロ活動の中では、お口から始まる全身の健康について発信していきたいと思っています。
開園一年目には、園児を始め、保護者、職員へむし歯ゼロ活動を実施する中で効果は顕著に表れ、1年間で虫歯をもつ園児が全体の約11%から約7%へと減少しました。保護者からは「歯磨きを嫌がっていたが、指導後は進んで歯磨きするようになった」「小さいうちから習慣づけるためにとても大切な活動だ」など有難いお言葉をいただき、より一層の活動へと意気込んでいるところです。
目的 乳幼児期にお口の健康を保つことで一生涯全身の健康を保つ
目標 園児・保護者・職員が一丸となって園児のむし歯を減らす
まだまだ十分に磨くことの出来ない年齢では、活動の中で歯科衛生士による歯磨きを行います。お口や歯ブラシの確認を行います。
歯と同じ色をしている歯の汚れを赤く染める「歯垢染色液」を使い、視覚で訴える歯磨き練習をします。
歯磨きやむし歯のお話を楽しく読み聞かせも行っています。お口の中について学び、歯磨きの重要性を知ることでやる気を引き出し、自主性を磨きます。
歯科医師を招いて園児・保護者を対象とした「お口のお勉強会・お口の相談会」を開いています。
日常の育児に活用できる最新の専門的知識を教えてもらうことができます。
Q.歯並びの悪さは遺伝するの?
保護者:「歯並びは遺伝すると聞いたが、親が矯正治療しても子どもに遺伝しますか?」
歯科医師:「歯並びは遺伝の影響を受けますが、それだけで決まるわけではなく、生活習慣や食育環境と深い関係があります。歯並びの良し悪しは遺伝要素だけで決まるわけではありません。」
鼻呼吸を促す「あいうべ体操」を取り入れ、楽しさから関心を導きます。
「あいうべ体操」の効果
・風邪やインフルエンザなどの病気にかかりにくくなる
・むし歯ができにくくなる
・顔に筋肉が付いて表情豊かになる
・鼻呼吸を促し、良い歯並びを作りやすくします
園児の食習慣や生活習慣についてのアンケートを実施し、その中でむし歯リスクの上がる習慣についての情報提供を実施しました。
「むし歯リスクを減らす間食の摂り方」や、「口腔と全身との関わり」など30を超える情報提供を毎月のお便りで情報発信を行いました。